2010年02月04日

『ウォリアーズ』…ハンター;猫たちの物語

『ウォリアーズ』…著者;エリン・ハンター



猫のお話です。
前に猫の本が家に9冊ある、と書きましたが、これを入れたら10冊でした。

主人公は子猫のラスティー。
飼い猫だった彼は、ある出来事がきっかけで、それまでの安穏な生活を捨て、野生の猫として生きていく道を選びます。

野良猫じゃありません。野生の猫です。

この物語で語られるのは、人間とほとんど関わることのない、原始の生活を送る猫たちです。
近所のお婆ちゃんにかわいがられて、餌を貰うようなマネをする猫たちでは、決してありません。
肉食獣として、獲物を狩って生きているのです。

猫というのは個人主義の生き物だと思われていますが、この話の猫たちは、大きな群れを作っています。
そして、縄張り争いにしのぎを削ります。
この本の題名『ウォリアーズ』は、『戦士たち』という意味。
これは、その戦いに参加する、勇敢な猫たちのことを表しています。

猫たちが暮らす森には、サンダー族、シャドウ族、ウィンド族、リヴァー族の、4つの部族が住んでいます。
部族にはそれぞれ名の通った戦士たちがいて、その個性の衝突が、複雑なドラマを描き出します。
そのため、登場人物(というよりネコ物)は実に多彩。
見開きに一覧がありますが、そこに載っている分だけで、17匹。
ブルースター(青い星)、タイガークロー(トラの爪)、ファイアポー(火の足)、など、2つの単語を合わせただけの簡潔な名前は、ネイティブアメリカンの部族を思わせます。
かつての彼らと同じように、猫たちは猫族の神話を持ち、猫族としての美徳を持っています。

そんな猫たちの文化を、細部にわたって描き出す作者の想像力には脱帽。

続刊多数。現在、18巻目まで出ているそうです。





訳者;金原瑞人
ラベル:児童文学
posted by kbk-mzp-ck9000CP at 19:50| 東京 ☀| Comment(0) | 書評・児童文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月03日

『NO.6』…あさのあつこ

『NO.6』…著者;あさのあつこ 講談社文庫



昔、『青春アドベンチャー』というNHKのラジオドラマを聴いていました(今もやってるみたいです)。
この話題が分かる人、どれだけいるでしょう?
一回ハマると、ずるずる聴き続けてしまう不思議な番組です。

著者のあさのあつこさんは『バッテリー』とか、『MANZAI』で有名な方。
いかにも『青春アドベンチャー』に合いそうな作家さんだなー、と思ってたら、やっぱり『バッテリー』がドラマ化されてました。

でも僕としてはどっちかというと、『NO.6』のほうがこの番組に向いてるんじゃないかと思います。
SFです。
『青春アドベンチャー』は、結構SFが多いです(ちなみに、僕が初めて聴いたドラマは、事故にあった女の子がチンパンジーに脳を移植されてしまう、というものでした)。
多分、テレビではできないジャンルを、そこでフォローしているのでしょう。

物語の舞台は、2013年。
あらゆるものが管理された、理想都市『NO.6』。
エリート居住区に住む少年、紫苑は、ある嵐の日、家の中に転がり込んだ犯罪者を助けてしまいます。
それが当局に見つかり、約束されていた輝かしい将来は白紙に。
そして4年後、公園管理の仕事をしていた彼は、仕事場で起こった不審死事件の犯人に仕立て上げられてしまいます。

正論を盾に圧迫する社会と、それに押しつぶされる人間。

スタンダードな構図ですが、文章の簡潔さも相まって、かなり読みやすい話に仕上がっています。
冒険を通じて、自分の知らない世界に踏み込んでいく少年、紫苑。
そのナビゲーターを務める、元犯罪者のネズミ。
2人の主人公は、自分を脅かす社会システムに対して、一体どんな風に戦うのでしょうか?

続巻がかなり出ています。













以下割愛。
ラベル:あさのあつこ
posted by kbk-mzp-ck9000CP at 08:41| 東京 ☀| Comment(0) | 書評・児童文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月02日

『ソフィーの世界』…ヨースタイン・ゴルデル

『ソフィーの世界』…著者;ヨースタイン・ゴルデル NHK出版



読書好きの方で、この本を知らない方は、あまりいないのではないでしょうか。
まあ、最後まで読んだ方も、同じくらい少ないでしょうけれどw
ぱっと見の厚さと、テーマが哲学という点が、とっつきにくい印象を与えているようです。
それでも結構なベストセラーになりました。

もう十年以上前のことです。
何かしら難解な知識を身につければ、今の自分と違った何者かになれる。
僕がこの本位であったのは、読書に対してそんな幻想を抱いていた時期でした(でもきっと誰もが通る道;)。
もちろんそんな動機で何かが身につくわけはなく、簡潔な内容を自分の頭で勝手にややこしくして、挫折感を味わっただけで終わりました。

そんな思い出のある本を読み直したのは、つい最近。
掘り出し物がないかとブックオフをぶらついていたとき、カバーの端がよれた本書が、105円の棚に並んでいるのをみつけました。
往年のベストセラーというのは、よくこの手の運命を辿ってしまうものです(…などとしみじみ言ってみる)。
なんとなく懐かしかったので購入。何気なく頭空っぽにして読み返してみると、意外にすんなり読めました。
最初から、話を楽しめばよかったんですね。

そんなわけで、内容をちょっとだけ紹介。
ある日、主人公の少女ソフィーの家に、謎の手紙が舞い込んできます。

あなたはだれ?
世界はどこからきた?

唐突で漠然すぎる質問。
その2つの問いによって、彼女の、哲学への扉が開かれます。
しかし、手紙はそれだけではありませんでした。
三度覗いたポストの中、今度は、次のような郵便が舞い込んでいました。

愛するヒルデ 十五歳のお誕生日おめでとう。

一体、ヒルデとは何者か?どうして、自分のところに彼女あての手紙が来たのか?
物語が進むに連れて、本書に仕掛けられた思いもよらない、『世界の秘密』が明らかになります。
小説化が、一生に一度だけ使える禁じ手。
この手の展開は安っぽくなる危険もありますが、本書では哲学をテーマにしているだけあって、説得力があります。

哲学について、ちゃんと知識を持ちたかったら、巻末に索引があるので何度も読み返してみたらいいです。
半分は事典だと思って置いておくといいかも。
posted by kbk-mzp-ck9000CP at 08:26| 東京 🌁| Comment(0) | 書評・児童文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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