2010年02月14日

『くまのプーさん』…A・A・ミルン

『くまのプーさん』…著者;ミルン 岩波少年文庫




部屋の本を整理してたら、『くまのプーさん』が出てきました。
大の大人の部屋に何でそんなもの、と思われるかもしれませんが、『くまのプーさん』は立派な文学作品です。
プーさん好きには、原作派とディズニー派が存在するようですが、管理人は断然原作派です(というよりアニメを見たことがありません)。
そんなわけで今日は、プーさんの原作を紹介したいと思います。



『くまのプーさん』。
この作品は、たくさんの短いエピソードからなりたっています。
ハチミツを盗ろうとして風船にぶら下がるプーさんの話。
そのプーさんが、今度は食べ過ぎて、ウサギの穴にハマってしまった話。
コブタといっしょに、怪物ゾゾを捕まえようとする話。
クリストファー・ロビンが百ちょ森のみんなを連れて、北極を目指すお話。

作中で、ロビンは何度もプーさんのことを『ばっかなクマのやつ』と言い、百ちょ森の分別のある面々も彼のことを頭の足りない動物とみなしています。
そして実際に、プーさんの的外れな行動は、いつも話をおかしな方向に持っていってしまいます。
しかしだからといって、彼が浅はかだというわけではありません。
本当はプーさんは、物語の登場人物の中で一番深く物事を考えている動物なのです。
ただ、彼の中には、一人前の動物が知っておくべき知識が、まだそろっていないので、そのふるまいが、周りからは変なものに見えてしまうのです。

だけどいつも自分の頭で考え続ける彼は、時々すごく的を射たことを口にします。
そのことに気づき、実感を持って彼の言葉を受け止められる唯一の人物が、クリストファー・ロビンです。
彼は確かに『ばっかなクマのやつ』と口にしますが、それはあくまで愛情に裏づけされた言葉。
彼ら2人は、互いへの敬意に基づいた、深い友情で結ばれています。



そんな深い哲学を備えた原作ですが、ディズニー絵の特徴である過剰な感情表現は、こういった思想性とはあまり相性がよくありません。

やはり原作の挿絵画家、アーネスト・H・シェパードの、あっさりして見る人に想像の余地を残してくれる画風のほうが、この作品には合っていると思います。

ところで、『プー』というのが元は白鳥の名前だったこと、ご存知でしたか?
くまのプーさんは、2代目のプーだったのです。
その辺の経緯は前書きに詳しく書いてあるので、プーさんが好きで、でも原作を読んでない方は、ぜひ1度読んでみてください。
posted by kbk-mzp-ck9000CP at 21:39| 東京 ☀| Comment(0) | 書評・児童文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月12日

『WICKED』…著者;マグワイア

『WICKED』…著者;マグワイア ソフトバンククリエイティブ





同名ミュージカルの原作になった、『オズの魔法使い』のスピンオフ作品。
『オズの魔法使い』は、有名な童話の例に漏れず、裏を読まれやすい作品みたいです(例えば、桃太郎の『鬼が島』はどこのことなのか、とか、赤ずきんで『狼』が象徴するものは何か、のように)。
よく言われるのは、この作品世界は当時のアメリカを風刺したものだ、ということ。
作者のボーム自身はそういった見方を否定していますが、この小説『WICKED』はそんな裏読みをとことんまで膨らませた作品です。

『オズの魔法使い』の悪役、西の魔女エルファバの伝記的なお話。
不穏な政治情勢の中で彼女が誕生するところから、ドロシーによって殺されるまでのエピソードが、淡々とした筆致で描かれています。
緑色の肌を持ち、水アレルギーの彼女は、ひねくれてはいるけれど、意外にいい人間。
むしろ、オリジナル作品でドロシーを導いた北の魔女のほうが性格が悪いです。
それなのになぜ、エルファバは悪役になってしまったのか。
作品中では、病んだ社会と偏見が、彼女に他の選択肢がない状況にまで追い込んでいく様子が精密に描かれています。

ところでミュージカル版は、かなり原作を修正しているとのこと。
確かに舞台の、宣伝では、北の魔女と西の魔女のあいだに友情があったみたいな言い方をしているのに、本の中ではそういった部分があまり目立たなかったので、変だと思っていました。

どうでもいいけど、オズの魔法使いに関するウィキペディアの記事作品の背景とかは詳しいのに、肝心のストーリーが書いてないのがおかしい。

ミュージカル「ウィキッド」劇団四季版




劇団四季ミュージカルBOOK『ウィキッド』のすべて

posted by kbk-mzp-ck9000CP at 19:36| 東京 🌁| Comment(0) | 書評・ストーリー物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月11日

『ICO』…宮部みゆき

『ICO』…著者:宮部みゆき 講談社



有名ゲームの小説家
『ブレイブストーリー』などでおなじみ、宮部みゆきの児童文学シリーズ(?)です。
ただこの作品、彼女のオリジナルではありません。
土台になっているのは、同名のゲームタイトル。
閉ざされた城の中から、女の子を連れて脱出するというもので、直感的な操作性と独特の世界観から、当時は結構話題になりました。

ゲームのストーリーは謎の多いものでした。
城への生贄に捧げられた角の生えた少年。
彼は運良く戒めを解かれ、城内をさまよっているうち、巨大な鳥かごに閉じ込められた少女に出会います。
彼は女の子の手を引き、襲い来る影と戦いながら外を目指します…。
これが大体のあらましなのですが、物語がそこに至るまでの背景は、ゲーム中では一切明かされていません。
プレイヤーは、自分の頭で想像するしかありませんでした(もっともそれが、このゲームの最大の楽しみの1つなのですが)。

その謎に1つの解答を与えたのがこの作品。
巨匠、宮部みゆきが長い構想を経て、ひとつながりの美しい物語を作りあげました。
ゲームからは分からなかったエピソードが、小説中で次々と明かされていきます。

発売はゲーム→小説の順でしたが、逆の楽しみ方もありかもしれません。
先に小説を読んでゲームをすると、物語の世界を、美しいグラフィックと音楽で追体験することが出来ます。
ちなみにゲームのほうは、隠し武器があったり、あることをするとエンディングが微妙に変わったりと、やりこみ要素に溢れています。

1度クリアしてもう1度プレイすると…。

ゲーム



サウンドトラック


posted by kbk-mzp-ck9000CP at 17:07| 東京 ☁| Comment(0) | 書評・ストーリー物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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