2010年02月19日

『蹴りたい背中』…綿矢りさ

『蹴りたい背中』…著者;綿矢りさ 河出文庫



当時話題になった芥川賞受賞作。
金原ひとみとの同時受賞であり、加えて19歳という史上最年少での受賞ということで、相当注目を浴びました。

学校の人間関係に溶け込めない女子高生と、ファッションモデルの熱狂的ファンのクラスメートのお話。
主人公・初実は、理科の実験中、いっしょのグループになった『にな川』が見ていたファッション雑誌を覗き込みます。
そこで交わした一方的な会話から、彼女とにな川の、奇妙な交流が始まるのでした。

ファッションモデルに対するにな川の、異常な心理。
だけどそれは、十代特有の感性が些細なきっかけで形を変えたものに過ぎません。
物語中で主人公の初実は、にな川の観察者という居地にあります。
ですがその彼女もまた、にな川より少しバランスがとれているだけのはみ出し者。
集団でいることの浅はかさを受け入れられない彼女は、憎しみを隠さず振りまくことで、周囲との溝を深めていきます。

そんな初実のにな川に対する共感と、同属嫌悪とも言えそうな攻撃衝動。
学校生活に対する物憂さが、優れた筆致で描かれた一作です。

寡作であるのが惜しい作家。
posted by kbk-mzp-ck9000CP at 13:34| 東京 ☀| Comment(0) | 書評・ストーリー物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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